Yellow Magic Orchestra and more...

第3回 オリジナル・アルバムを聴く〜2003.1.22、CD復刻記念

SIDE A アルバムの特徴(改題)

 YMOのアルバムは(当然であるが)、1978〜84年と、1993年に発売されたが、年ごとにコンセプトが変化していってとても面白い。
Part1でも紹介したが、「ファイヤークラッカー」をディスコアレンジするところからスタートしたYMO。1978年11月のファーストアルバム「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」では(レコード会社の影響からか)全体的にフュージョン色が強い。これに対し、翌年「Solid State Survivor」では、イギリスのニューウェーブに影響を受けた作風に仕上がっている。1980年発売の「増殖」では、この流れがエスカレートして当時流行だったスカビートに乗ったスピーディなサウンドを聴かせてくれる。
 かと思えば、1981年には、「これがテクノか!?」と思わせる「BGM」「テクノデリック」を発表。重たい・暗い、しかしその中に快楽を見出せる傑作として、今も人気が高く、この2枚は、現代テクノの原点といわれている。
 1年のブランクを置き、1983年に発表された「浮気なぼくら」では、当時の歌謡界で培ってきたサウンドを持ち込み、なおかつYMO自らがアイドルとなって披露する。その年に散開を迎えるが、散開記念となった「SERVICE」では、メンバーそれぞれの今後を示唆するサウンドが収録されている。
 そして散開から10年たった1993年に突如再生。アルバム「テクノドン」は、10年のブランクを感じさせない、93年当時のテクノを堂々と提示した。

 YMOというと、とにかく音楽に節操がなく、前衛的で、なおかつ非常の敷居の高い音楽だと思われがちである。しかし同時に、YMOによって「テクノ」だけでなく、他の音楽も知った、あるいは音楽を始めた、はたまたファッションに目覚めた、という人も多いのではないかと思う。
 私などは、今のJ-POPと呼ばれるあらゆる楽曲の原点に、YMOが存在し、それは今も日本のみならず世界中の音楽に影響を与え続けているように思うのだが・・・。


SIDE B オリジナル・アルバム ディスコグラフィー

YMO活動中に発表したアルバムを簡単に紹介。後半は活動中に発表したライブ・アルバムも紹介。
ついでに筆者が持っているCD(レコード)の写真も少しだけ公開。

アルバム名 Photo Memo
1 YELLOW MAGIC ORCHESTRA
オリジナル発売日 1978.11.25
(1)コンピューターゲーム(2)ファイヤークラッカー(3)シムーン(4)コズミック・サーフィン(5)コンピューターゲーム(6)東風(7)中国女(8)ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック(9)マッド・ピエロ(10)アクロバット

記念すべきファーストアルバム!ゲーム・サウンドから始まる「新しい」音楽。
後半の「東風」「中国女」「マッド・ピエロ」のメドレーは必聴!
(筆者は1992年発売のCDを所持)
2 YELLOW MAGIC ORCHESTRA
(US)
オリジナル発売日 1979.7.25
(1)Computer Game(2)Firecracker(3)Simoon
(4)Cosmic Surfin(5)Computer Game(6)Yellow Magic(Tong Poo)(7)La Femme Chinoise(8)Bridge Over Troubled Music(9)Mad Pierrot

1stアルバムをアメリカA&Mでの発売に合わせリミックス。ジャケット・デザインが変更された。
リミックスにより低音部が強調され、ディスコ・サウンドをより強く主張している。
(1998年発売のCD(紙ジャケ)所持)
3 SOLID STATE SURVIVOR
オリジナル発売日 1979.9.25
(1)Technopolis(2)Absolute Ego Dance(3)Rydeen(4)Castalia(5)Behind The Mask(6)Day Tripper(7)Insomnia(8)Solid State Survivor

YMOの代名詞とも言える名曲「ライディーン」「テクノポリス」収録したミリオン・セラー・アルバム。
当時の帯のコピーにはこんな文句が・・・
「驚異のメタ・ポップを聴かずして21世紀の音楽は語れない!!」
(オリジナルレコードと1998年発売のCD所持)
4 増殖
オリジナル発売日 1980.6.5

(1)JingleY.M.O(2)Nice Age(3)Snakeman Show(4)Tighten' Up!(5)Snakeman Show(6)Here We Go Again(7)Snakeman Show(8)Citizens Of Seience(9)Snakeman Show(10)Multiplies(11)Snakeman Show(12)The End Of Asia

当時のラジオ番組「スネークマン・ショウ」とのコラボレーション。時代色が一番濃い名作(!?)。アーチー・ベルの「タイトゥン・アップ!」をカヴァー!「スネークマン・ショウ」のギャグは、その後のYMO〜スケッチ・ショウにまで影響を及ぼしたか!?
(2000年発売のCD(リマスター版)所持)
5 BGM
オリジナル発売日 1981.3.21
(1)Ballet(2)Music Plans(3)Rap Phenomena(4)Happy End(5)1000 Knives(6)CUE(7)U.T.(8)Camoufrage(9)MASS(10)Loom

聴く者を圧倒する重厚かつ甘美なサウンド。ウルトラヴォックスに影響された名作「キュー」が収録されている。
(2003年発売のCD(リマスター版)所持)
6 TECHNODELIC
オリジナル発売日 1981.11.21
(1)Pure Jam(2)Neue Tanz(3)Stairs(4)Seoul Music(5)Light In Darkness(6)Taiso(7)Gradated Grey(8)Key(9)Prologue(10)Epilogue

サンプラーを世界で初めて使用したアルバム。他にもケチャ、民族音楽、ミニマムミュージック、クラシックの要素を取り入れ、テクノの可能性を広げた傑作。
(2003年発売のCD(リマスター版)所持)
7 浮気なぼくら
オリジナル発売日 1983.5.24
(1)君に、胸キュン。(2)希望の道(3)Focus(4)音楽(5)Opened My Eyes(6)以心電信(7)Lotus Love(8)邂逅(9)希望の河(10)Wild Ambitions

1年の沈黙を破り、パステルカラーに身をまとったYMOの新境地。
憎らしいくらいキュート(^^;な「君に、胸キュン。」はカラオケでも歌えますよ。
(1998年発売のCD(紙ジャケ)所持)
8 浮気なぼくら
(Instrumental)
オリジナル発売日 1983.7.27
(1)Chaos Panic(2)Expected Way(3)Focus(4)Kai-Koh(5)Expecting Rivers(7)Lotus Love(8)Ongaku(9)Opened My Eyes(10)Wild Ambitions

「浮気なぼくら」のインスト版。「君に、胸キュン。」が「カオス・パニック」に差替えられ、曲順も一部変更されている(意図は分からない)。YMOサウンドの秘密も聴けちゃう(かも)。
(2000年発売のCD(リマスター版)所持)
9 Service
オリジナル発売日 1983.12.14
(1)Limbo(2)S.E.T(3)The Madmen(4)S.E.T(5)ChineseWispers(6)S.E.T(7)You've Got To Help Yourself(8)S.E.T+Y.M.O(9)Shadows On The Ground(10)S.E.T(11)See-Through(12)S.E.T(13)Perspective(14)S.E.T

「散開記念アルバム」ということで、最後には文字通りファンへの「サーヴィス」。三宅裕司氏率いる「S.E.T」がギャグで参加。YMOも共演。
「誰だ高橋をいじめてるのは!名前言え!」「細野です」「ほーそーの!」(^^;

(2003年発売のCD(リマスター版)所持)
10 TECHNODON
オリジナル発売日 1993.5.26
写真は準備中ですm(_ _)m
(1)Be a Superman(2)Nanga Def?(3)Floating Away(4)Dolphincity(5)Hi-Tech Hippies(6)I Tre Merli(7)Nostalgia(8)Silence Of Time(9)Waterford(10)O.K(11)Chance(12)ポケットが虹でいっぱい

「YMO再生」ということで、「裸のランチ」で有名なウィリアム・バロウズが朗読で参加。ジャケットの「警告」も彼によるもの。
「ポケット〜」はエルビス・プレスリーのカヴァー。筆者がYMOを知るきっかけになったアルバムでもある。

(1993年発売のCD(オリジナル)所持)
オリジナル・ライブ・アルバム
11 Public Pressure
オリジナル発売日 1980.2.21
(1)Rydeen(2)Solid State Survivor(3)Tong Poo(4)The End Of Asia(5)Cosmic Surfin'(6)Day Tripper(7)Radio Junk(8)La Femme Chinoise(9)Back In Tokio

(1)〜(4)はロンドン・ベニュー公演、(5)はL.Aグリークシアター公演、(6)〜(8)はN.Yボトムライン公演、(9)は凱旋後の中野サンプラザにて。
契約の関係でギターパートをスタジオでシンセに差し替えたことにより、かえって「テクノポップ」を強調した作品。オリコン・チャートで初めて1位を獲得。
(1992年発売のCD所持)

12 AFTER SERVICE
オリジナル発売日 1984.2.22
disk1(1)Propaganda(2)東風(3)Behind The Mask(4)Solid State Survivor(5)中国女(6)音楽(7)Focus(8)Ballet(9)Wild Ambitions(10)邂逅
disk2(1)希望の河(2)See-Through(3)Key(4)Technopolis(5)Rydeen(6)以心電信(7)過激な淑女(8)君に、胸キュン。(9)Firecracker

1983年12月12,13日 日本武道館での公演を収録(散開コンサート)。
サポート、メンバーにデビッド・パーマー(drums)参加。YMOサウンドをこれでもかと言うほど聴かせてくれる。
(1998年発売のCD(紙ジャケ)所持)

※このほかにベスト版「Multiplies」がありますが、ここでの紹介は割愛させていただきます。
(2003.1.27)

(第4回に続く) 

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